研究概要 |
一次調査ならびに予備調査の結果を踏まえて,改変・追加を経て2003年8月までに二次調査のための調査票を作成し,二次調査を1年間実施した. 1.集計結果 適応基準に合致する対象患者555名に調査への参加を要請し,542名(97.7%)から調査票を回収した.集計データの代表値は中央値(25,75パーセンタイル)で示す. 女性389名,男性153名,年齢中央値は34歳(25,51歳),症型割合はI型21.6,II型15.3,III型56.3,IV型5.4,V型1.3%だった.症状では無痛開口域35mm(27,42mm)有痛開口域40mm(32,46mm),疼痛部位では咬筋と下顎頭外側極が最も多かった.日常生活障害では大開口に関する障害が最も多く,食品摂取支障度でも開口困難が強かった.疼痛強度(100mmVAS)は33mm(15,59mm)であり,疼痛性質は鈍痛的,情動的表現が強かった.半数が頭痛を自覚し緊張型頭痛が多かった.疑診以上の不安は40%,抑うつは19%を示し,性格的には神経症と外向的傾向は同程度だった.生活上の寄与因子では多忙,上下歯列接触癖,キーボード作業,片咬み癖などが多かった.咬みあわせ違和感の自覚は42%にみられ,違和感強度(100mmVAS)は43mm(16,74mm),持続期間は7週(3,7週)だった. 2.分析結果 予備調査に組み込み,今回も調査した日常生活障害質問項目の交差妥当性を両調査結果を用いて検討し,良好な結果が得られた. 疼痛の慢性化に関与する要因を検索し,不安,生活習慣としての高い・硬い枕の使用,うつ伏せ読書,不良姿勢,重量物運搬などが抽出された. 今回初めて調査票に組み込んだ咬みあわせ違和感に関連する要因を検索し,睡眠状態の悪化,食品のすりつぶし困難感,片かみ癖,夜間ブラキシズムの自覚といった項目との関連を見出した. 今回の調査結果から本調査票の有用性が確認できた.
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