研究課題
基盤研究(C)
沖縄の老人福祉施設における高齢者の性に関わる問題についての対応を検討するための基礎資料を作成する事を最終目的として4つの研究課題に取り組んだ。その結果、保健学科学生を対象にした第1の研究では、男子学生、年齢の高い学生、看護コース学生、性体験のある学生の方がそうでない学生に比べ、高齢者の性に関する知識が多く、より積極的態度を示した。特別養護老人ホームのケアスタッフを対象にした第2の研究では、看護師は准看護師や介護士に比べ、高齢者の性に関する学習経験があるケアスタッフはそうでないスタッフに比べ、高齢者の性に対して肯定的イメージをもっていることが明らかになった。また、ケアスタッフにおける高齢者の性に関する知識、態度、イメージおよびそれらの相互関連を検討した第3の研究では、高齢者の性に関する学習経験がある者はない者に比べ、それに関する知識量が有意に多く、それに対する積極的態度を示し、肯定的イメージをもっていた。高齢者の性に関する知識量と積極的態度、知識量と肯定的イメージ、積極的態度と肯定的イメージの間にそれぞれ有意な関連性を認めた。最後に、高齢者の性に対する沖縄県老人福祉施設の認識と対応の実態調査の結果は、全国調査とほぼ同様であり、高齢者の性は肯定的に認識されていた。充実した性はQOL向上に役立つとし、性に関わる問題には高齢者の意思を尊重するなど理解ある対応が示された。しかし、性に関わる問題の発生率が全国に比べ若干高くなっている中にあって、高齢者の性の問題に対する教育や相談システムはまだ十分に整備されておらず、高齢者の性の問題に対しどのように取り組むべきか、具体的な検討をする段階にはまだ至っていないのが現状である。以上の結果から、高齢者看護および介護の専門教育現場においては性教育内容の検討と高齢者福祉施設においては高齢者の性の問題に対する相談システムの整備等検討していく必要性が示唆された。
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