研究概要 |
1.研究の概要 本研究は、二次医療圏(1市4町村、人口8.4万)の中核病院(355床)において、退院調整看護師に退院調整を利用した患者の相談記録を資料とし、地域との連携モデルの検討を行うことを目的とした. 1)平成14年度に退院調整を利用し退院した患者252人の退院調整日数に影響する要因の探索:退院依頼期間,退院調整日数と在院日数を相関係数を用いて検討した.さらに、退院先を施設機能で分類,退院調整日数を従属変数,患者特性および退院先を独立変数として重回帰分析を行った. 2)平成13-15年度退院調整を利用し退院した患者883人の退院先の居住地および施設機能ごとの医療圏域構成:退院先を施設機能で分類し,患者居住地,退院先施設所在地を二次医療圏および市町村毎に分類整理し,自宅退院者の圏域構成,移行先施設所在地の居住地圏内率を算出した. 2.結果の概略 1)退院調整依頼期間と退院調整日数は、在院日数とそれぞれ強い相関(r=0.843とr=0.639が,いずれもp<0.01)がみられたが、退院調整依頼期間と退院調整日数の間に有意な相関はみられなかった(r=0.124).退院調整日数は,医療処置管理,疾病分類,施設分類で有意な差が確認され,これらを独立変数とした重回帰分析で,「一般病床又は一般病床と療養病床を有する病院」,「療養病床と介護療養型病床を有する病院」,「医療処置管理」,「精神病床と療養病床,介護療養型病床を有する病院」,「一般病床と療養病床,介護療養型病床を有する病院」によって0.224の寄与率で説明された.二次医療圏中核病院における退院調整の調整日数は,患者の医療処置管理の有無,地域施設の機能別病床数の量的な充足状況,退院後の行き先施設における病床利用率や在院日数の影響が示唆された. 2)退院先である自宅は4つの二次医療圏11市町村であった.退院先施設は4つの二次医療圏の39施設で,全体では、7カ所の「一般病床と療養病床、介護療養型を有する病院」に75.1%が退院し,調査地医療圏だけをみると、2カ所の同タイプの施設に77.9%が退院していた.地域の中核病院では,「一般病床と療養病床、介護療養型を有する病院」との連携が円滑な退院調整に必要だと考えられた.退院調整看護師は、医療処置管理法や疾病別療養行程の予測と医療圏域を踏まえた施設の探索および、在宅療養のための各種サービスへのアクセス方法に精通する必要がある.
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