研究概要 |
本研究では舞台芸術創造に関わる舞台芸術創造組織から鑑賞者まで,すべての構成要素が,オープンネットワークの中で自らの役割と関係性を把握し,他者との関係付けをしながら行動できるための社会的仕組みが必要であるとして,その仕組みを舞台芸術創造・享受のための「プラットフォーム」と定義し,その社会的な意味,成立の条件,具体的なあり方を明らかにすることを目標とした. 本研究は,大きく3つのアプローチを行った.ひとつは地域における舞台芸術創造活動の要として機能している公立文化施設に対する郵送方式の調査票調査である。把握された2821施設全体に行い、1200施設の回答を得た。特に施設の開かれ度を軸とした数量化III類を用いた多変量解析を行い、5つの施設類型を抽出した。 二つ目は既にプラットフォーム機能を何らかの形で担っているような組織を抽出し,その活動内容と意図する役割,今後の展開の方向性,課題などについて,聞き取り調査を行い,それらの事例の中から,プラットフォームに必要な要件を取りまとめた. さらに,現時点で公立文化施設に大きな影響を与えることが予想されている「指定管理者制度」について触れ,それを契機として地域の舞台芸術プラットフォーム機能を考えてゆくために,筆者らの研究グループが地域の市民組織と連携して,名古屋における市民側からの公立文化施設のあり方を考えるワークショップを行い,その議論を基盤として市民組織が行政に対して指定管理者制度の導入に際し,文化施設に係る条例の改定への提案をおこなった.そしてこれらの結果を取りまとめて、プラットフォームの機能と公立文化施設のプラットフォーム化過程の階梯を提案した。
|