研究概要 |
本研究の目的は,初等中等教育と高等教育を対象とした系統的な科学技術に関するカリキュラムの開発である。具体的には,発達段階に応じたエネルギー(新エネルギーを含む)に関する教材・教具を開発し,エネルギーに関する系統的なカリキュラムを構築し,授業実践でその効果を検証するものである。研究の概要を下記に示す。 (1)児童・生徒・学生の実態把握として,小・中・高等学校へ出向き,教師から生徒の実態と指導の現状を調査した。調査の項目は,現在学校で行われているエネルギー教育の実例と,求められる教材,エネルギー教育推進の課題点である。その結果,(1)学校現場では,エネルギー教育を推進するための体験的な教材が不足している。(2)新エネルギーについては,教員も児童,生徒,学生共に興味があるが,それらを系統的に指導するカリキュラムはほとんど存在しないことが明らかとなった。 (2)発達段階に応じたエネルギー変換に関する教材・教具の開発及び製作を行った。新エネルギー関係として,太陽光発電システムの教材開発とカリキュラム開発,風力発電システムの教材開発とカリキュラム開発,バイオ・化学および燃料電池に関する教材開発とカリキュラム開発を行った。 (3)授業実践は,小中学校教員の協力のもと,上記で開発したカリキュラムに対応して授業を行った。その結果,(1)最新の科学技術も,適切な形に教材化することにより,生徒,学生は興味を示し,十分学習が可能である。(2)実験や実習を通してエネルギーについて学習することにより,興味・関心が高まり,新たなエネルギー問題についても,課題意識を持つ児童,生徒,学生の育成が可能となる。(3)系統的に新エネルギーを教えることにより,積極的に社会に参加する姿勢が生まれてくることなどが明らかとなった。 このような実践を積み重ね,エネルギー教育の推進を図ることは,極めて重要であり,今後も研究を進める体制整備に努めたい。
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