研究課題/領域番号 |
15607003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
計算科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸泰 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (70211745)
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研究分担者 |
湯川 諭 東京大学, 大学院・ 工学系研究科, 助手 (20292899)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 物質設計 / シミュレーション / 非平衡緩和法 / アルダー転移 / KT転移 / 相転移 / 臨界現象 / 金子・四方模型 / 相図 / 拡散 / 非平衡反応系 / NERANALYZER / アボガドロチャレンジ / 京速計算機 / 反応系 / 輸送現象 / 非平衡 / 剛体粒子 / 分散系 / 動的指数 / アスペクト比 / 超スケーリング / イジング模型 / ラシュブルッケ不等式 / 地球シミュレータ / 非平衡仕事 |
研究概要 |
統計物理学・物性理論の主要な目標の1つは、原子・分子から出発して物質の相や相転移・臨界現象を理論的に記述し、予測する事である。この目標に向けて前世紀の初頭以来研究が続けられ、多くの成果が得られているが、多様な物性を自在に記述するには至っていない。一方、1980年代以降の計算科学の台頭に伴い、この分野でも計算機シミュレーションが強力な研究手段と認識されるようになり今日に至っている。数値的手法で最も重要なことは、同じ量を評価するために計算量が最も少ない方法はなにか、ということである。1950年代に計算機シミュレーションによる物性研究が始まって以来、より効率的な解析方法を求めて多くの手法が提案されてきた。そのほとんどは、まず時間平均として熱平衡状態を実現しその上でうまい統計量を評価し解析するという戦略に沿っての提案である。1990年代に入りこれとは正反対の戦略が本研究代表者らにより提案された。「非平衡緩和法」と名付けられたこの方法は、平衡戦略とは正反対に非平衡状態から熱平衡状態への近付き方(非平衡緩和過程)から相や相転移・臨界現象を解析するものである。本研究はこの非平衡緩和法とその応用をさらに発展させ、合わせて広く使いやすいものにすることである。具体的には、(1)非平衡緩和法のさらなる発展、(2)非平衡緩和法の物性評価計算手法としての整備、(3)非平衡緩和法による物性自動解析ソフトウェア開発の準備、の3点を目標として平成15年度に発足し、平成18年度までの4年間の研究期間中に上記の目標をほぼ達成することができた。スピン系のKT転移の解析手法を完成させ、2次元アルダー転移がKT転移であることを明らかとするなど残っていた課題は解決し、相と相転移についての研究は一段落した。また、粒子系の非平衡過程を効果的にシミュレートする手法(棄却なしモンテカルロアルゴリズム)を開発し、また固相中での構造と非平衡挙動(拡散)との関係とを解析した結果を公表した。棄却なしモンテカルロ法は剛体球系の高密度でのシミュレーションを、従来のモンテカルロ法や粒子動力学法に比べて、格段に(密度にもよるが数倍から数百倍以上)高速化する方法である。また非平衡緩和の初期過程が粒子の位置秩序により記述できることが明らかとなった。これにより非平衡緩和法により粒子系の熱平衡状態を解析する上での指針が得られた。また金子・四方模型として知られる化学反応系を使い、非線形非平衡挙動の統計力学的な研究に途をつけた。さらに非平衡緩和法を解析の核とした物性自動解析ソフトウエアNERANALYZERの開発に着手し、暫定仕様に基づいたプログラムを開発し、汎用ソフトウェアに向けての課題を検討した。
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