研究課題/領域番号 |
15650059
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
戸田 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20217508)
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研究分担者 |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 神経再生 / 軸索伸展阻害分子 / 脊髄損傷 / 神経幹細胞 / 運動機能 / 樹状細胞 / 免疫学的アプローチ / ミエリン / Nogo / MAG |
研究概要 |
成熟中枢神経系において、自己複製能及び多分化能を有する神経幹細胞の存在が明らかにされたことから、内在性の神経幹細胞の分化誘導による中枢神経再生の可能性が示唆されている。そこで、本研究では、損傷後の中枢神経再生の困難な原因の一つが免疫系から隔絶された環境特異性にあるという仮説のもと、軸索阻害分子を標的としたワクチンを作製し、新しい免疫学的アプローチによる神経再生を試みた。 まず、マウス脊髄損傷モデルを作製し、下肢の運動機能評価法を確立した。そこで、軸索伸展の阻害分子Nogo-A receptorに結合するNogo66エピトープ組換え蛋白と、Nogo-A抗体誘導可能な抗原ペプチドを用いたワクチンによるNogo-A特異的な免疫誘導の検討を行った。その結果、マウスモデルにおいて、Nogo-AワクチンによるNogo特異的な抗体は誘導されなかった。 そこで、T細胞および抗体誘導において最も重要な抗原提示細胞である樹状細胞を中枢神経系の損傷部位へ移植する、新たな免疫治療アプローチによる神経再生の可能性を検討した。マウス脊髄損傷モデルを作製し、樹状細胞を損傷部位へ移植したところ、有意な運動機能の回復が観察された。そのメカニズムの一つとして、樹状細胞が軸索再生効果の高い神経栄養因子NT-3を分泌して、損傷神経軸索を再生することにより、運動機能が改善されることが示唆された。また、樹状細胞移植により、脊髄損傷部周囲では、内在性の神経幹細胞が増殖して、神経細胞の新生が観察された。 以上、本研究では、免疫制御に重要な抗原提示細胞である樹状細胞を脊髄損傷部位に移植することにより、再生困難な中枢神経系においても、神経軸索の再生や新たな神経細胞の分化誘導が起きうることを明らかにした。
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