研究課題
萌芽研究
(1)マウス前脳虚血モデルの樹立これまで、マウスの前脳虚血モデルを樹立するため様々な検討を行ってきた。本研究では、温度管理のため手術野および手術用顕微鏡をアクリルボードで覆い、全体を37℃に保てるシステムを構築した。さらにはマウス個体間や手術手技自体の誤差をなくすため、赤外線脳血流計を用いて虚血効果を定量化した。これによりさらに虚血の正確性が増した。(2)カルシニューリン活性により制御されるNCX受容体の機能解析海馬のスライスを用いたin vitroの実験系において、CsAおよびFK506の投与により、低酸素刺激による細胞内カルシウム上昇がきわめて効果的に抑制できることが判明した(東京薬科大学、工藤佳久教授との共同研究)。これらの薬剤の共通のターゲットであるカルシニューリンが、カルシウム受容体(細胞膜、または細胞内)を制御していることを示している。現在、遅発性に起こる細胞内カルシウム上昇がNa/Ca exchange transporter(NCX)受容体、特にNCX2受容体がカルシニューリンにより制御されていることが判明しているが。本研究では、虚血による細胞内カルシウムの上昇にこのNCX2受容体が重要な役割を果たしていることが予想されたため、まず、NCXの各サブタイプの抗体を用いて虚血ラット海馬におけるNCXを調べた。NCX1および2は虚血後12-24時間で海馬神経細胞に発現の上昇がみられた。次に、カルシニューリンを含むこれらの遺伝子に対してsiRNAを作製した。まず、カルシニューリンに対するsiRNAは6種類のうち2種類がサブタイプ別に効率よくカルシニューリンを抑制した。さらにNCXに関しては現在作製中である。今後はこれらのsiRNAを用いて培養細胞や遺伝子改変動物(ノックダウンマウス)を作製しさらに解析を進める予定である。
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