研究概要 |
通電刺激が心筋の電気的興奮状態に与える影響をより詳細に検証するため,光学計測を用いた以下の2種類のシステム開発を行い,興奮伝播現象の計測および解析を行うことを目的として研究を実施した.具体的には,心臓上の任意点での活動電位をリアルタイムで計測しながら,その波形信号に対して通電刺激を印加できるシステムフィードバック通電刺激システムを開発し実験に応用した. 連続的に撮影した心臓興奮の光マッピング画像から計測点における活動電位波形をリアルタイムに導出する.一定区間の最大値と最小値を検出し,その平均値(活動電位波形振幅の50%)をthresholdとする.その後,活動電位値がthresholdを上回った時点を活動電位の立ち上がり,下回った時点を立ち下がりとし,その時点を基準とした遅延時間で通電刺激を印加することを可能とした.(1)活動電位の立ち上がりをトリガとし,そこから設定した遅延で通電刺激を印加するフィードバック刺激,(2)活動電位波形から拡張期間隔(Diastolic Interval : DI)を検出し,立下りからDI±αの遅延時間後に通電刺激を印加するフィードバック刺激,(3)複数設置した微小電極から,その近傍の心筋で先に活動電位が立ち上がった電極を選択して通電刺激を印加するフィードバック刺激を行うことが可能とした. 検出したDIを元に遅延時間を設定したフィードバック刺激では,DIが正確に検出されたことを確認した.刺激電極を自動的に選択するフィードバック刺激実験では,先行興奮波の進行方向を考慮した形でフィードバック刺激を行うことに成功した.これにより通電刺激の時間的な制御だけでなく,位置の制御も行うことが可能となり,様々な除細動通電刺激プロトコルを実験的に検証できる.
|