研究概要 |
本年度は,昨年度から引き続き,ユニバーサルデザインに配慮したWebページに於ける背景と文字の色彩の組合せでの見やすさ・読みやすさの評価を行ったものである.昨年度行った,背景になる色彩と文字の色彩の組合せを25種類に対して背景と文字の色彩を反転させた48種類に増やした.昨年度の被験者を,教材を見るであろう学生・生徒に限らず,高齢者層にも拡大し,それぞれの色彩の組合せを5段階で評価してもらった.その結果,年齢層にかかわらず共通して見やすい組合せが存在すること,高齢者層と若年層では見にくい評価を行った組合せに差があり,好みも異なること,男女では好みの評価に差があることが明らかになった.従って,コンピュータディスプレイやテレビ会議で表示される顔色の印象を巧く表現するためには,一昨年度示した顔を目立たせるようにするための工夫が必要性の上に,文字を顔画像上に重ねる場合の色彩の組合せにも注意する必要があることが再度示され,男女間の好みの差が示されたことから閲覧者を限定する要素になると考えられる. また,動きのある色彩の組合せの見やすさについての研究発表をHIS(ヒューマンインタフェース・シンポジウム)で行った.これは,音声の語りかけに対して動的にうなずき反応を起こす音声駆動型インタラクションシステムを基にして,音声の語りかけに対して色彩が変化する音声駆動型インタラクションシステムを構築し,評価を行った.その結果,一度に色彩が変化するものより順次変化していくものが好まれること,青から赤に変化するものがその逆より全ての項目で評価が高いことが示された. 本研究に対する補助は今年度で終了するが,顔色の動画像に果たす役割をさらに解明して応用を行うための基礎的研究は継続して行う予定である.
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