• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

タリウムによる生態汚染の現状解明

研究課題

研究課題/領域番号 15651003
研究種目

萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 環境動態解析
研究機関東京農工大学

研究代表者

久野 勝治  国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (70092484)

研究分担者 渡邉 泉  国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (30302912)
研究期間 (年度) 2003 – 2004
研究課題ステータス 完了 (2004年度)
配分額 *注記
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
キーワードタリウム / 地球環境汚染 / 生態毒性 / 強毒性元素 / 野生動物 / 道路脇粉じん / 植物-土壌 / 都市汚染
研究概要

タリウムは生体微量元素の中でも毒性が高く、さらに近年のハイテク産業などに伴い、工業的な需要が急増している。しかし、実際の生態毒性や体内動態に加え、地球環境中、なかでも生物圏における分布や挙動など、未解明な部分が多い元素といえる。本研究は、環境化学的に無視できない超微量元素であるタリウムによる生態汚染および環境動態の把握を目的とした。つまり、底質や粉じんといった環境試料に加え実際の野生生物体内における濃度を、マイクロウエーブ分解-誘導結合プラズマイオン源質量分析法にて測定し、解析を試みた。本年度は、前年に確立した分析法を用い、環境試料の拡大・充実に重点を置き、研究を遂行した。
その結果、バイカルアザラシやオットセイなど、淡水および海棲の哺乳類においてもタリウムは検出され、その汚染が地球規模で拡大している可能性が明らかとなった。アジア地域で急速な発展を遂げるタイ・バンコク沖の柱状堆積物の分析は過去約50年の汚染経緯を示していると考えられ、解析の結果、経済活動が活発化した1980年代にタリウム濃度は僅かながら上昇し、その後、最近(1997年のバーツ暴落後と考えられる)になって濃度が減少する傾向が認められた。同じく、インドシナ半島における分布を、水系の高次捕食者であるライギョを用いてモニターした結果、タリウムはカンボジアで、タイやベトナムよりも高濃度が認められた。カンボジアでは首都プノンペンよりも観光地シェム・リアップとトンレ・サップ湖で高値が示された。また、ベトナムのメコンデルタでは、体内のタリウム濃度が雨期に高くなり、乾季に低くなる季節変動を示した。さらに、ベトナムではホーチミン市の運河で、極めて高レベルが検出され、アジアの都市における汚染が示唆された。また、東南アジアの沿岸棲海産魚を分析した結果、タリウムは肝臓に高レベルで蓄積し、筋肉の濃度は肥満度と共に上昇した。また、藻類を嗜好する種で高濃度になる傾向が認められた。最後に、東京都内の鉄道沿線の粉じんの濃度は低く、前年の「日本の都市部で低い」推測を支持する結果も認められた。

報告書

(2件)
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 文献書誌 (3件)

  • [雑誌論文] Comparison of trace element accumulation in the liver, kidney, muscle and hair among Baikal seals (Phoca sibirica), Caspian seals (Phoca caspica) and northern fur seals (Callorhinus ursinus).2004

    • 著者名/発表者名
      Ikemoto, T., Kunito, T., Watanabe, I., Yasunaga, G., Baba, N., Miyazaki, N., Petrov, E.A., Tanabe, S.
    • 雑誌名

      Environmental Pollution 127

      ページ: 83-97

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [文献書誌] 渡邉 泉, 田辺信介: "バイカル湖,カスピ海,黒海および日本沿岸産魚類20種の微量元素蓄積"環境化学. 13・1. 31-40 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 渡邉 泉, 寶來佐和子, 新井雄介, 久野勝治, 林光武, 谷地森秀二, 國頭恭, 田辺信介: "2000年に栃木県で大量死したムクドリSturnus cineraceusの微量元素蓄積"環境科学会誌. 16・4. 317-328 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 宝来佐和子, 渡邉 泉, 久野勝治, 田辺信介, 岩水良和, 本村 健, 平岡 考: "1999年に羽田で捕獲されたチョウゲンボウの微量元素蓄積"環境化学. 13・3. 719-732 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

URL: 

公開日: 2003-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi