研究概要 |
初年度に燃焼加熱式のヒータへと装置を改良した結果,要求温度などの必要条件を満たしながら振動現象の連続的可視化を可能とすることに成功し,振動燃焼に関してより広範な情報を得ることが出来た。二年度目は,マイクロ燃焼器側における自励振動燃焼の振動周期と振幅に及ぼす流速および当量比の影響を明らかにすること,圧電素子側の要求による振動周期・温度領域との整合をとることから開始した。壁温が1380K,メタンを使用した場合,当量比0.05から1.9の範囲にわたり燃焼可能であり,本研究で想定している振動燃焼は,当量比0.3から1.7の範囲の主として混合気平均流速が30cm/s以下の領域で起こることを明らかにした。このように振動燃焼の発現は広範囲に渡るが,圧電素子を高温に適用する場合,材料のキュリー温度がネックになり,当初予定した燃焼波との直接作用が難しいことが判明した。そのため,ある程度温度の低い領域に圧電素子を設置する必要が生じるが,これにより有効に使用できる温度振動範囲が狭まる問題が出てくることが懸念された。しかしその後,ランガサイトの使用によりキュリー温度の問題を解決でき,本研究の概念を実現可能であることが明らかとなった。 圧電素子をマイクロ燃焼器側に適合させるための設計方針が材料の問題で二転したため,予想外に時間を費やしたことが問題点である。結果的には本質的な障壁にはならず,キュリー温度の問題を解決できたが,遅れのために現在圧電素子を導入した段階である。
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