研究課題/領域番号 |
15651094
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物分子科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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研究分担者 |
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | β-グリコシルアミジン誘導体 / β-グリコシダーゼ阻害剤 / シロイヌナズナ / in vivo アッセイ / 形態変化 / β-キシロシルアミジン / β-キシロシダーゼ阻害 / マトリックス多糖 |
研究概要 |
本研究は、グルコース、ガラクトースおよびキシロースから合成した一連のβ-グリコシルアミジン誘導体を、直接、植物(シロイヌナズナ)に与え、その結果観察される、植物の生育および形態上の変化を手がかりに、植物の生理現象にどのような種類のグリコシダーゼが関与しているか、その手がかりを得ることを目的としたものである。そこで、ベンジル基を共通のアグリコン部とし、グルコース、ガラクトースおよびキシロースをグリコン部とする3種類のβ-グリコシルアミジン誘導体(Glc-amidine,Gal-amidineおよびXyl-amidine)を合成し、それぞれの化合物を固形寒天培地(GM培地)に適量加えて、シロイヌナズナ(野生株)を播種あるいは幼植物体を培養し、植物の生育状況と形態を経時的に観察した。その結果、Xyl-amidineを加えた場合のみ、葉の色が黄色くなり、葉の厚みが薄くて垂れ下がった異常な形態を示すことが観察された。また、これらの変化には濃度依存性が見られ、アッセイに用いた最小濃度である0.1μMのXyl-amidine存在下でも、顕著な変化が見られた。一方、グリコン部の構造の異なるGlc-およびGal-amidineでは、このような異常な形態は観察されず、また、構造的に類似したβ-キシロシルアミド(Xyl-amide)でも、この変化は見られなかった。Xyl-amideにはβ-キシロシダーゼ阻害活性がほとんどないことから、シロイヌナズナに見られた形態上の変化はXyl-amidineに特徴的なもので、これら形態上の変化には、何らかの形でβ-キシロシダーゼの阻害が関与していることが示唆された。 一方、植物から抽出した粗酵素液には、高いβ-グルコシダーゼ活性およびβ-ガラクトシダーゼ活性とともに、低いレベルではあるがβ-キシロシダーゼ活性が観測された。In vitroでの阻害実験により、それぞれの酵素活性は、対応するアミジン誘導体によって強く阻害され、特に、粗抽出液中のβ-キシロシダーゼ活性は、Xyl-amidineによって完全に阻害されることが判明した。この結果は、植物の形態異常を引き起こす原因が、β-キシロシダーゼの阻害にあるというin vivoでの結果を裏付けるものである。
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