研究課題/領域番号 |
15652026
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山本 雅代 関西学院大学, 言語教育研究センター, 教授 (40230586)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | バイリンガル / バイリンガリズム / 国際結婚家庭 / 言語使用 / 母語 / 言語習得 / 少数派言語 / 言語継承 |
研究概要 |
潜在的多言語家庭の家庭内言語使用の実態を考察する本研究の最終年度である本年度は、「日本語-非英語家庭(フィリピンの言語)」(以下、日-比家族)を対象に昨年度実施した質問紙調査の結果を集計し、これを分析すると共に、協力を申し出た家族を訪問し実施した追跡面接調査の分析を行った。さらに本調査で得られた結果を、「日本語-英語家庭」(以下、日-英家族)を対象として実施した前回調査の結果と比較分析した。分析の結果、以下のような点が明らかとなった: (1)「日-比家族」では、「日-英家族」と比較し、家族内でのコミュニケーションに、社会の主流言語(ここでは日本語)がより多く使用される。 (2)「日-比家族」では、両親の母語とは異なる言語である「第3言語(Lα)」が家族内でのコミュニケーションに使用されることが少なくないのに対し、「日-英家族」ではそのような例は観察されていない。 (3)「日-比家族」と「日-英家族」では、それぞれ自分たちの言語の組み合わせ(前者では日本語-フィリピンの言語、後者では日本語-英語)によるバイリンガルが日本でどのように捉えられているか、その位置づけに関して異なった認識を持っており、前者の方が後者より有意に否定的である。 (4)実際に子どもをバイリンガルに育てようとしているかについても、(3)と同様、前者の方が後者よりも有意に否定的である。 加えて、Lαが使用される背景には、Lαの威信性の高さとその有益性に対する認識が大きな影響要因としてあることが示された。 以上の結果を統合すると、本研究においては、潜在的多言語家庭では、言語グループによって言語の使用形態に異なった特徴を示し、その違いは、必ずしも家族成員の言語能力の高低や当該言語の実際の使用機会の多寡を直接反映したものではなく、関与する言語の社会的、また国際的威信性や有益性に大きく影響を受けて生じている可能性が強く示唆された。
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