研究課題/領域番号 |
15653058
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
久冨 善之 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (40078952)
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研究分担者 |
木村 元 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60225050)
荻原 克男 (萩原 克男) 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70242469)
勝野 正章 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10285512)
深見 匡 東京都立大学, 人文学部, 助手 (00295461)
中田 康彦 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (80304195)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 学校選択制 / 経営主義的競争文化 / 集中校 / 評判格差 / 学校参加意識 / 学校設置の自由 / 市民社会性 / 学校統廃合 / チャーター・スクール / 学校づくり / 中教審・行財政部会・報告 / 学校選択 / 通学区域自由化 / 新自由主義・教育改革 / 教育改革 / 学校運営 |
研究概要 |
「学校選択制」の導入は「学校と教師との管理方式の改革」や「学力テストによる成果管理」と親和的に展開し、地域・学校・教師間に経営主義的競争文化を埋め込んでいる。 最も目立つ変化は、公立学校間で入学者の集中校と流出校とが生じ、その格差が拡大する傾向である。入学者数格差の発生・拡大は「学校への評判の上下」の発生を引き金としており、評判格差は拡大化と固定化の傾向にある。「評判向上」に向けた学校・教師の競争的努力がなされる一方で、不人気校での「あきらめの気分」が確認された。しかし学校教育の全般的向上や、学校の「特色化」・「学校評価」の活用、国立・私立からの生徒の回帰といった政策意図の達成は見られず、父母の学校参加意識の全般的高まりも観察されなかった。入学数が著しく減少して「学校そのものの存亡の危機」が生じた場合、学校を場とする協力・努力と学校・教師への信頼回復のケースが例外的にあったが、集中校ではそのような参加意識・行動の高まりは観察されていない。 中教審が掲げる「新しいタイプの公立学校」や「公立学校の管理運営の包括的な委託」は、日本型チャータースクールにおける学校設置の自由の模索である。そこには「国家の権力性」と「市民社会性」とのせめぎ合いがある。学校設置の自由については現行法制の基本枠を維持しながら例外措置として位置づけ、むしろ学校の管理運営面で新たな選択肢を、すなわち学校運営協議会制度に学校運営への父母参画の可能性を見出そうとしている。 地方でも学校統廃合や複式化の回避、通学区域のゆがみ等に起因する問題の解消といった課題意識から学校選択制度の導入が始まっているが、学校の特色化の実体を備えるに至ったとはいえない。また制度導入時には行政情報依存傾向がみられ、市民社会への浸透は今後の課題である。
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