配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
研究概要 |
本年度は,前年度に得られたEuhadra現生種のDermatopontinのアミノ酸配列に基づき,種間での保存性の高い領域で合成した人工ペプチドに対するポリクローナル抗体を作製し,有肺類の現生種・化石種各種の貝殻抽出との反応を調べた.その結果,(1)Dermatopontinがヒラマキガイ以外の有肺類でも貝殻基質タンパク質として使われていることを再確認し,(2)有肺類の中でも原始的と考えられるオカミミガイ科(Elloviidae)の種においても貝殻基質タンパク質として使われていることを明らかにした.また,化石種については,抗原となる貝殻抽出物を濃縮し,さらに段階的に希釈したさまざまな濃度の一次抗体を反応させてやることにより,小笠原諸島父島産の陸生貝類絶滅種ヒロベソカタマイマイ(Mandarina luhuana)の化石貝殻中にDeratopontinの断片が残されていることを明らかにした.一方,化石化に伴う免疫化学反応の低下は,種間のアミノ酸配列の違いによる反応性の違いよりも桁違いに大きいことも判明し,当該化石種が本土産のEuhadra属に近いのか,それとも小笠原諸島のMandarina属現生種に近いのかを抗体との反応性によって判別することが難しいことも明らかとなった.今後は,今回作製した抗体を用いて化石抽出物からDermatopontinをアフィニティ精製し,精製されたペプチドのアミノ酸配列を質量分析により直接決定するといったアプローチをとることが必要である.
|