研究概要 |
本研究は,中性ナノ粒子の存在位置・滞在時間が拡散でのみ決定される「微重力反応性プラズマ」中でのナノ粒子の発生・成長機構を,特にナノ粒子の構造形成過程に焦点を絞り,実験的に明らかにすることを目的としている. 今年度は,結晶シリコンナノ粒子の付着確率と輸送効率について明らかにするため,一次元ガス流において結晶シリコンナノ粒子作製を行った.気相中で発生した微粒子を捕集して透過型電子顕微鏡で観察した結果,サイズが2nm以上の単結晶シリコンナノ粒子の付着確率はほぼ100%であることが明らかになった.また,輸送効率は,ガス流速とナノ粒子の拡散速度に支配されており,重力はほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった. また,他の材料への展開を目的として,カーボン微粒子の発生・成長機構について明らかにするため,重力下におけるカーボン壁と水素プラズマ相互作用による微粒子発生についても実験を行った.その結果,ナノメートルサイズのカーボン微粒子が大量に生成していること,カーボン壁の構造の違いにより生成量が変化することを明らかにした. ナノ粒子の付着確率及び輸送効率を明らかにすることは,ナノ微粒子を構造材としたナノ構造形成という,新しいプラズマプロセスへの展開への足がかりになると考えられる.
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