研究概要 |
バクテリア細胞壁へのムラミン酸誘導体導入による表面修飾という本手法の発展として、ムラミン酸誘導体をもちいた新しい抗菌剤について検討した。 ムラミン酸の4位をフッ素化した細胞壁前駆体誘導体(フッ素化パークヌクレオチド)を、N-アセチルガラクトサミンを出発原料として合成するルートを新たに確立した。このフッ素化パークヌクレオチドは、バクテリア細胞壁合成経路においてLipidIIの合成を阻害することにより、抗菌作用を示すことが期待される。この抗菌作用について乳酸菌を用いて調べた。菌株には、ラクトバシルス属のL.plantarum JCM1149を用いた。この細菌をフッ素化パークヌクレオチドを1mg/ml(0.87mMの,0.01mg/ml(0.0087mM)で含む培地(市販のラクトバチリMRSブロスを22.5g/lで蒸留水に溶かしたもの)に添加し、嫌気性条件下37℃で培養した。比較として、化合物(Ia)を含まない培地でも培養した。1、2、3、5、7、10時間後の細菌の個体数を、寒天培地上で形成されたコロニーを数えることにより算出した。各時間での細菌の個体数を算出した結果、フッ素化パークヌクレオチドを含む培地では含まない培地にくらべ、増殖率が低下することが確認された。これらの成果はOrg.Lett.2004,6,1753-1756に掲載された。
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