研究課題/領域番号 |
15655072
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝沢 博胤 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90226960)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | クラスター / ホウ硫化物 / 高圧合成 / 結晶化学 / 結晶構造解析 / イオン半径 / イオン伝導 |
研究概要 |
無機化合物の結晶構造において、「クラスターユニットの相互連結によるマクロクラスター結晶化学」を構築する目的で、BS_4四面体の連結からなる巨大四面体クラスター形成とその結合様式について検討した。一価カチオンとしてAg、Li、Na、K、Cuを選択し、これとホウ素、硫黄の組合せからなる三元系化合物を高圧合成し、得られた生成物の結晶構造を解析した。Li-B-S系では二種の新規化合物(LiBS_2、Li_2B_8S_<13>)が生成し、このうちLi_2B_8S_<13>はB_2S_3高圧相の結晶構造を基本骨格とし、その空隙内にLiイオンが分布したマクロクラスター構造を有することが明らかとなった。Na-B-S、KB-S、Ag-B-S系では、それぞれ高圧合成により新規化合物が得られたが、単一相の合成が困難で詳細な結晶構造解析には至らなかった。しかし、赤外吸収スペクトルからはBS_4四面体からなるクラスターユニットの存在が示唆され、一価カチオンを含む三元系ホウ硫化物にはマクロクラスター構造が多数出現することが見出された。一方、Cu-B-S系ではカルコパイライト型構造の新規化合物CuBS_2が得られ、バンドギャップが3.6eVのワイドギャップ半導体であることが判明した。マクロクラスター構造の構築と一価カチオンのイオン半径との間には明瞭な相関が存在し、イオン半径が小さいほど、BS_4四面体の連結からなるマクロクラスター構造が形成されやすいことが明らかとなった。高圧力場は構成イオン間のイオン半径比に大きく影響を及ぼすため、これらの化合物群の合成には有利な反応場である。以上、本研究により、三元系ホウ硫化物に特異に発現するマクロクラスター構造が明らかになったとともに、その構造形成がクラスターユニットに含まれない一価カチオンのサイズに大きく依存することを見出した。
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