研究課題/領域番号 |
15656007
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中山 正昭 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30172480)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | アルカリハライド / 薄膜 / CsI / NaI / LiI / ナノ粒子 / シンチレーション / 自己束縛励起子 / 発光 |
研究概要 |
薄膜結晶の母体材料として、代表的なアルカリハライド・シンチレータ材料であるCsIに着目し、ヨウ素をコモンイオンとした2種類のアルカリハライド(NaI, LiI)をドーピング材料として試料作製を行った。試料作製においては、まず、ブリッジマン法によりバルク結晶を作製し、それをソースとして真空蒸着法を用いて薄膜の結晶成長を行った。物性評価に関しては、構造物性の観点から、X線構造解析と原子間力顕微鏡による表面モルホロジー観察を行い、光物性の観点から、X線励起発光(シンチレーション)スペクトル、紫外線励起発光スペクトルの測定を行った。研究成果の概要を以下に述べる。 (1)NaIをドーピングしたCsI(CsI:Na)薄膜では(ドーピング濃度0.1〜0.3mol%)、昨年度の研究において、真空中での熱処理(250℃、1〜3時間)によりNaIナノ粒子が形成され、それによりシンチレーションが活性化することを見出した。この成果をベースとして、母体であるCsI結晶からNaIナノ粒子への励起エネルギー移動機構に関する研究を行った。X線励起シンチレーションと紫外線励起発光の温度依存性の系統的な測定から、約100K以下の低温領域では、母体CsIに起因する自己束縛励起子発光が主発光であり、100K以上の温度領域において、前記の自己束縛励起子が熱エネルギーによりホッピング運動してNaIナノ粒子に捕捉され、ナノ粒子に起因するシンチレーションが主発光となることを見出した。(2)LiIをドーピングしたCsI(CsI:Li)薄膜(ドーピング濃度0.1〜0.3mol%)において、熱処理によるナノ粒子形成とそれに伴うシンチレーションの活性化が生じることを新たに見出した。また、CsI:Na系と同様なエネルギー移動機構を確認した。この成果は、「ナノ粒子形成によるシンチレーション機能の制御」という概念が新たなパラダイムとなりうることを実証している。
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