研究課題/領域番号 |
15656011
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薄膜・表面界面物性
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丹司 敬義 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90125609)
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研究分担者 |
川崎 忠寛 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10372533)
田中 成泰 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 講師 (70217032)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 反強磁性体 / 電子回折 / 磁性金属多層膜 / Co / Cu / 電子線回析 / 巨大磁気抵抗効果 / 酸化ニッケル / 制限視野電子回折 / 高干渉性電子線 |
研究概要 |
本研究では、まず、試料となる反強磁性単結晶薄膜を作製した。この薄膜は、電子線の入射方向、即ち、膜面にほぼ垂直な方向にすべてのサイトのスピンがそろっている結晶面を持つ必要がある。この試料を用い、200kV電界放出形透過電子顕微鏡を使って電子回折斑点中の異常を検出することを目的とした。当初、反強磁性体である、酸化ニッケル単結晶を用いたが、この結晶には、スピンが反平行に並ぶであろう(110)面が、3種類あり、観察面を対応する面に合わせる事が容易ではなかった。そこで、強磁性層と非磁性層を交互に積層した金属多層膜[Co(4nm)/Cu(0.9nm)]_<20>でその磁気特性から強磁性層中の磁化が反平行に積層していると思われる試料の断面を観察したのだが,超格子の周期が約5nmと少し長すぎたため,電子回折で十分に回折波を分離できなかった。また、Co層のさらに薄い[Co(2nm)/Cu(0.7nm)]_<20>の試料を作製し断面観察した。しかしながら、予想されたビームのスプリット(4x10^<-4>rad位か)は観察されなかった。[Co(2nm)/Cu(0.7nm)]_<20>では、約40%の磁気抵抗効果が観察されているのだが、同じ試料を電子線ホログラフィで断面からCo層の磁化状態を観察したところ、2〜4周期のCo層が平行配列した上で、交互に並んでいるのが観察された。これはCo相内に、磁区構造が存在するためであろうと考えられる。従って、回折ビームのスプリットは予想よりもさらに小さく、今回は分離が不可能であったものと思われる。残念ながら本研究では電子回折による反強磁性配列の観察に成功しなかったが、試料の磁化に影響を与えない、磁気シールド対物レンズと、1x10^<-6>rad以上の平行性を持った電子線、および、50m以上のカメラ長を用意する事ができれば、必ずしも不可能ではないと考えている。
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