研究概要 |
高速物体が金属板に衝突する際,マイクロ波が放出される現象について,実験と理論から原因を追求した.今年度は種々の金属標的に,同じ速度で衝突させ実験を行った.データの再現性を確認すると共に,周波数特性にステンレスとアルミで顕著な差が観られた,これらの実験事実を基に,電子の熱的な励起と表面からの放射,およびマイクロ波電力と衝撃荷重の対応関係を検討した. デブリが宇宙基地等に衝突する際,発生するマイクロ波によりデブリ検出するシステムについて,システムS/Nの解析を行った.ビーム巾が広いアンテナで効率的に監視できることを示した.また2アンテナを用いて衝突場所を特定するため,基礎的実験を行った. マイクロ波発生が,高温で生成されるプラズマによるものかを確かめるため,静圧力により岩石を破壊したところ,マイクロ波が検出された.発生電力量は,圧電性強い珪岩と弱い斑レイ岩で,ほとんど同じである.花崗岩と玄武岩では,明らかに発生電力が少ない.そのデータの解析を進めた.発生電力量が,破壊直前の圧縮力(岩石により異なる)にほぼ比例することが示された.従って,この現象がプラズマによるものでなく,岩石の破壊の激しさに関連することが推定される. 地震に際して岩石が破壊され発生するマイクロ波を、人工衛星で受信できるかを見るために,システムの検討を進めた.実験値を元に発生電力を推定し,システムS/Nを求めた.その結果,充分検出の可能性があることが示された.また宇宙研本部の科学衛星の蓄積データにおいて,地震時のマイクロ波受信記録を調査した.
|