研究概要 |
(1)高エネルギX線を使用し,遮熱コーティングのトップコート層およびボンドコート層の応力分布を非破壊で測定する手法を開発した.基材として2mm厚さのニッケル基合金ハステロイXを用い,NiCoCrAlYをプラズマ溶射により0.15mmのボンドコートし,その上に8wt%Y_2O_3を含むジルコニアを0.5mm被覆した試料について,透過法により残留応力分布を測定した. (2)実験室X線により逐次電解研磨法で求めた応力分布と比較し,両者を複合した手法により、はく離応力を算出する手法を開発した. (3)遮熱コーティング中のボンドコート層とジルコニアとの界面近傍のはく離応力が、高温での酸化によって増加することを実証し,かつ界面での酸化物の成長が割れの原因となることを示した. (4)高エンルギX線を使用してひずみスキャンニング法で応力分布を求める場合,アナライザーを使用すると強度が落ちる.そこで,ダブルスリットにより強度を稼ぎ,計算で表面効果を補正する手法を開発した.この手法を用いて、ショットピーニングした鉄鋼材料の表面下の残留応力分布を測定することから,有効性を実証した. (5)高エネルギ放射光を利用して,固体酸化物形燃料電池のユニットセルの燃料極および電解質の内部応力の非破壊測定を行った.室温から800℃までに熱サイクル受ける場合の内部応力のその場測定を行い,有限要素法による結果と比較した.また、使用中の還元および再酸化に伴う内部応力の挙動を把握することに成功した. (6)以上の研究結果を総合的に検討し,高エネルギX線を利用した材料内部の応力測定法の今後の展開の可能性を提案し,そこでの問題点を明らかにした.
|