研究概要 |
本年度は,液中プラズマで2通りの方法を用いてダイヤモンド単結晶の形成を試み,以下の成果を得た. [1]アルコール水溶液中プラズマを用いたダイヤモンド形成実験 この実験では,炭素ラジカル供給源のアルコールを水に溶かして,液体で水素ラジカルリッチなC_2ラジカルプラズマを形成し,ダイヤモンドの形成を試みた.アルコールとしては,メタノールおよびエタノールを用い,水素供給源として純水を使用して,炭化水素と純水の混合比を変化させて,形成物の走査電子顕微鏡写真およびラマンスペクトル分析を行った.また,各実験条件下でのプラズマの発光スペクトルを測定し,形成物の炭素の結合状態と発光スペクトルの関連を調べた.当初,水は水素ラジカルのみ供給して,非晶質炭素のエッチングを行うと予想していたが,水酸基ラジカルや酸素ラジカルも多量に発生させるため,結晶のダイヤモンドの成長も阻害することがわかった.液体中でダイヤモンドを高速に成長させるためには,水素のみのラジカルを多量に供給できる方法が必須であることがわかった. [2]ダイヤモンド空間形成実験 超音波と電磁波の場の解析により音響気泡の形状と位置を制御しながら,形成されたダイヤモンドを常に空間中に滞在させ,超高温・高圧力の場をダイヤモンド表面に常に滞在するようにしながら,ダイヤモンド単結晶の形成(ホモエピタキシャル成長)を行う装置の製作を行った.空間中に超音波により捕捉させた気泡中に電磁波を照射すると液中プラズマが発生したが,ハイスピードカメラによる撮影と,気泡の運動の数値計算解析より,プラズマは,超音波の振動よりもかなり遅い周期で振動することが判明した.超音波の振動とプラズマの振動を同期させるためには,更なる高パワーの超音波を使用する必要があることがわかった.そのプラズマにより空間形成された粒子はナノチューブであることがわかった.
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