研究課題/領域番号 |
15656080
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秩父 重英 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (80266907)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ヘリコン波励起プラズマ / 酸化亜鉛 / 励起子 / 励起子ポラリトン / 分布ブラッグ反射鏡 / 誘電体多層膜 / エピタキシャル成長 / MgZnO / エピタキシー / 共振器 / 多層膜 / 反射鏡 |
研究概要 |
本研究は、励起子束縛エネルギーの大きい酸化亜鉛(ZnO)の優れた材料的特長をデバイスに抽出して生かすべく、励起子共鳴波長程度のZnO単結晶薄膜を対向する反射鏡で挟み込むことにより微小共振器を形成し、励起子と電磁波の連成波(励起子ポラリトン)を共振器モードに結合させることによって、室温において共振器結合励起子ポラリトンを形成することを最終目標として行った。2年間で得られた成果のハイライトは以下の点である。 1)申請者が独自に開発した「ヘリコン波励起プラズマスパッタエピタキシー(HWPSE)法」を用い、a面サファイヤ上へのZnOおよびMg_<0.06>Zn_<0.94>O混晶のエピタキシャル成長に成功した。また、プラズマ分光測定を通じ、MgZnO薄膜形成中にZnおよびMg原子からの強い発光が観測される事を見出した。従って、成長にはターゲットから飛び出すZn-O分子やMg-O分子だけでなく、カチオン原子が寄与している事を明らかにした。 2)微小共振器の構成部品となるSiO_2/ZrO_2誘電体多層膜および、MgZnO/ZnOとAIN/GaNの半導体多層膜の設計を、分布ブラッグ反射鏡の反射率計算から行った。その結果、誘電体多層膜では屈折率差が大きく取れることから、膜厚誤差ほぼ3nm以内で62.0nm/42.7nmの周期構造を8周期形成することにより99%の反射率が得られるが、半導体多層膜では同等の膜厚比で40周期程度堆積する必要がある事がわかった。この計算をもとに、実際に電子ビーム蒸着法と、HWPS法の2通りの方法でSiO_2/ZrO_2誘電体多層膜反射鏡の形成実験を行った。その結果、特にHWPS法を用いた場合に、表面の平均二乗粗さが0.2nm程度のSiO2やZrO2堆積できることが明らかになった。ブラッグ反射鏡としてはレコード級の平坦さである。 3)HWPSE法以外の成長法(レーザMBE法やMBE法)により成長されたZnO薄膜結晶を用い、励起子と電磁波の連成波の観測実験を行った。その結果、薄膜試料であってもi)高温成長による低Zn空孔密度化、ii)高温アニールによる低格子間欠陥密度化を行うことによって高次励起子や励起子ポラリトンが観測できることを示した。 以上のように、萌芽的内容であり実現の可能性が未知数であった酸化亜鉛の励起子ポラリトン形成に関して、有用な知見を与えられたと考えている。
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