研究概要 |
モデルオンデマンド(model-on-demand)はコンピュータパワーを最大限に利用する新しいモデリング技術として近年注目されている.モデルオンデマンドは,データベースに蓄えられた大量観測データから,要求があった時に必要なデータのみを検索・抽出し,局所モデルを導出する方法である.本研究は情報通信技術を駆使することによって,モデルオンデマンドの性能限界を突破する新しい試みである. 本研究の目的は「データの分散共有によるモデルオンデマンドの予測精度の向上を実証すること」である.そのための基礎的な問題として,平成15年度に引き続き(1)通信ネットワークを利用した分散制御システムと(2)データの分割によるモデルオンデマンド計算の高速化に取り組んだ。 (1)通信ネットワークを利用した分散制御システムに関する研究では,通信ネットワーク上に構築された分散制御系の局所コントローラが必要なデータの送受信を必要に応じて行う基本的な問題を扱い、制御性能の劣化を防ぐオンデマンド通信について調べた.特に制御系の状態の不変集合と通信を行う条件との関係を調べた. (2)データの分割によるモデルオンデマンド計算の高速化に関しては,モデルオンデマンド法の基本的な性能限界を克服するための手法として通信ネットワーク上に構築された分散データベースを利用するものであるが、基礎的な結果として推定精度を劣化させることなく推定計算の高速化を可能とするアルゴリズムとして,データの分割を前提とする方法を導出した.
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