| 研究概要 |
本研究では,セメントペーストを対象として,AE計測システムを活用した超音波計測により,特に材料の粘性の観点から凝結硬化過程の評価手法について検討した。実験では凝結遅延剤を用いて,検討ケースにバリエーションを設けた。単一円筒形回転粘度計により粘度測定を行い,超音波伝播特性値との関連性について検討した。また,参考として,プロクター貫入抵抗試験結果との比較も行った。
以下に本研究で得られた結論を示す。
1)本実験の範囲内では,超音波伝播速度の増分が変化する変曲点の時刻や伝播速度に着目することにより,遅延剤の作用による凝結性状の違いを評価できる。
2)回転粘度計により測定される見掛け粘度は,貫入抵抗試験により判定される始発以前の状態にあるセメントペーストのせん断応力に対する抵抗性の程度と対応しているものと考えられる。
3)最大振幅値の経時変化は,見掛け粘度の挙動とかなり近いことが明らかとなった。これによって,最大振幅値は,セメントペーストのせん断弾性率の変化を適確に捉えることができる。
4)周波数分布は,セメントペーストの硬化に伴い変化する伝播特性値であり,超音波伝播速度および最大振幅値では感度の低下する領域においても,凝結硬化過程を把握できる可能性がある。
|
