研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き,コンクリートの初期材齢時挙動と鉄筋コンクリート床版の疲労耐久性との間の関係を明らかにするための研究を推進するために,昨年度の研究において製作し,コンクリートの初期材齢時挙動を調査した鉄筋コンクリート床版を用いた輪荷重走行試験を実施した.ただし,この試験の実施にあたって,大阪大学で保有する試験機が不調であったこと等の外的要因により,試験は当初予定の半分の3体を完了しているに留まっており,17年4月以降に残りの床版の試験を実施せざるを得ない状況にある.しかしながら,本年度完了した長辺単純支持・短辺弾性支持の条件下での試験結果により,コンクリートの初期材齢時挙動に変化を与えるような混和材を用いると,床版の疲労寿命に有意な差が生じることが認められた.このことから,初期材齢時挙動の操作により,床版の疲労耐久性を向上させることができる可能性の高いことが明らかとなった. すなわち、通常コンクリートを使用したRC床版の疲労寿命は180kNの荷重では約6万回で破壊するのに対して、PVAを混入したRC床版では同荷重下では22万回まで持ちこたえ、約3.5倍の寿命向上を見た。一方、膨張材を混入した場合には180kNで100万回の走行繰り返しに耐え、一向に破壊する傾向が見られなかったので、荷重を200kNに増加させた。その結果、その大きな荷重で131万回まで耐えた。全荷重付加を180knで換算して回数を計算すると600万回となり、普通コンクリートを使用した場合に比較すると実に100倍の寿命増加を達成できることとなり、高耐久性の確保に膨張材が非常に有効であり、かつ経済的であると結論づけられる。
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