研究概要 |
本研究の目的は,歩行者の経路誘導のための「ことばの地図」,言い換えると,言語による都市交通空間の表現手法を開発することを最終的な目的とするものである.具体的には・認知科学的アプローチによる歩行者の経路認知・行動メカニズムの分析・自然言語処理分析による都市の交通空間・経路の言語表現構造の分析・現実空間を対象とした歩行者の経路誘導のための「ことばの地図」の作成と利用者評価を行うことを目的としている. (1)シソーラスの分析による都市の交通空間・経路の言語表現構造の分析: 平成15年度に収集された言語データを用いて,自然言語処理分析で用いられるシソーラスの分析手法を用いて交通空間の言語表現構造を分析した.抽出された言語の意味的関連性を分析し,交通空間・交通経路の言語変換プロセスをモデル化した. (2)歩行者の経路誘導のための「ことばの地図」の作成と利用者評価: 交通空間・経路を言語で表現した「ことばの地図」のひとつとして,交通空間の特性に応じた言語の選択,意味的関連性を考慮した「経路案内文作成モデル」を構築した.経路上のランドマークの抽出した「ランドマークグラフ」,文節をつなぐ「流れのことば」概念の導入などがモデルの特徴である.目的地への到達の容易性などを指標として,作成した「ことばの地図」の利用者評価を行った. (3)研究成果のとりまとめと公表 2年間の成果をとりまとめ,土木学会(全国大会・計画学研究発表会)・交通工学研究会発表会・ITS世界会議などで研究発表を行った.年度内に成果報告書をとりまとめ公表の予定である.
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