研究概要 |
平成17年度は,繊維のような再生使用が重要である除染対象物に対する適用性の拡張について検討した.例えば,作業衣に付着した放射性物質を除染する際には、除染後に作業衣が使用できることが重要である.また,放射性物質による繊維の汚染の場合には,焼却処理後に汚染の除去を行おうとすると消却残渣への物理的,化学的結合が強固となり除染が容易でなくなる場合がある.このような場合には,できるだけ繊維を傷めることなく,繊維の間に付着した酸化コバルト等を除去する技術が必要であり,逆ミセル中の化学組成および界面活性剤に関して,化学的な観点からの無害性を検討し,適合する系を検索する必要がある.このような系を実現するように,除染液の組成について最適化を行った.具体的には,鉄とコバルトを含むフェライトのスラリーを作製して,これを綿に吸着,乾燥させた後,25MPa,353Kの超臨界二酸化炭素中に形成したクエン酸,シュウ酸を含むマイクロエマルションで除染する実験を行い,シュウ酸の使用が除染により効果的であることを確認した.シュウ酸を使用できない条件下では,クエン酸に触媒としてII価の鉄イオンを共存させることで,除染効率の向上を図れることがわかった.研究結果の取り纏めの一環として,英国にて平成17年9月に開催された第10回環境修復および放射性廃棄物管理国際会議にて口頭発表を行うとともに,報告論文を投稿し,掲載予定となった.
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