研究課題/領域番号 |
15657018
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・行動
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アメリカザリガニ / 自発性歩行運動 / 刺激誘発性歩行運動 / 歩行開始 / 脳内シナプス機構 / 前大脳内側ニューパイル / 中心体 / 司令ニューロン / ザリガニ / 歩行運動の自発的開始 / 筋電図 / トレッドミル / ステッピング / 接地条件 / 長節屈筋 / 歩行開始時点 |
研究概要 |
ザリガニの自発的な歩行運動の脳内シナプス機構を明らかにする目的で、歩行の開始に先行して、あるいは、歩行開始時にシナプス活動を示すニューロンを探索し、その樹状突起投射部位を調査した。その結果、主に前大脳に投射する複数のニューロンを同定することができた。歩行開始に数100ミリ秒先行してスパイク活動を示すニューロンは、脱分極性の電流注入によって実験的に活動させても、歩行運動を引き起こした。このニューロンは、細胞体および樹状突起は脳内に持たず、軸索のみを前大脳に投射する上行性介在ニューロンであった。このニューロンは、機能的には従来知られている司令ニューロンに対応すると考えられる。また、同様に歩行に先行する下行性介在ニューロンも同定された。これらの下行性ニューロンは、樹状突起を前大脳、とくに中心体や内側ニューロパイルに投射していた。尾部刺激で引き起こされる歩行にも先行して活動上昇を示したが、その先行時間は、自発性歩行開始の場合と較べて短かった。個々のニューロンを細胞内電流注入で実験的に興奮させても、いずれでも行動出力は観察されなかった。この結果は、これらの下行性ニューロンが集団として歩行運動開始に関わる可能性を示唆しており、今回同定した上行性ニューロンとは対照的であった。一方、歩行開始とともに賦活されるニューロンは多数見出された。これらのニューロンは機能的に多様なものを含むと考えられるが、感覚刺激に対しては明確な応答を示さないグループは、歩行運動の維持に関わると推定された。これらのニューロンも、その樹状突起を前大脳内側ニューロパイルに投射していた。これらの結果は、1)自発性の歩行開始は刺激誘発性の歩行開始とは異なる脳内機構に基づくこと、および2)自発性歩行の開始に関わる特異的な脳内部位として前大脳内側ニューロパイルがあげられること、等を示唆している。
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