研究概要 |
WWドメインは40残基程度の小さなタンパク質モチーフである。このドメインは相互作用モジュールとして、細胞周期制御(Pin1/Ess1),ユビキチンライゲーション(Nedd4/Rsp5,smurf1)、転写制御(YAP65)、スプライシングファクター(FBPs)など多岐にわたる機ををもつタンパク質中に存在している。いくつかのWWドメインはリドル症候群、デシャンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病やアルツハイマー病などの病気と直接または間接的に関わる。WWドメインはプロリン・リッチな配列と相互作用することが知られているが、近年のゲノム解析で高等生物ゲノムにもっとも多く含まれるタンパク質モチーフはプロリン・リッチモチーフである。ポストゲノム時代の研究戦略を取り入れて、その基礎となるフレームワークを構築するような研究を行うことで、より迅速な理解が可能だと考えられる。したがってわれわれはWWドメインというモチーフがプロリン・リッチ配列をユニバーサルに認識する重要なタンパク質であるという観点から、上記Pin1/Ess1,FBR,Fe65などのWWドメインの結合特異性を表面プラズモン共鳴などの手法で明らかにし、分子モデリングで立体構造の観点から相互作用メカニズムを明らかにした。その結果グループI〜IVWWドメインでその特異性の鍵となる分子表面の構造を見出した。グループIではTyrグルーブ、グループII/IIIは第2XPグルーブ、グループIVはpパッチと名づけた独特の表面構造があり、それらがこれらWWドメインの特異性を規定していることがわかった。またそれぞれのグループのリガンドのコンセンサス配列も決めた。これらの結果はWWドメインの機能を理解するうえで特に重要な情報であり、機能未知のWWドメインの機能を予測することにも利用可能である。
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