研究課題/領域番号 |
15658084
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
佐藤 正宏 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (30287099)
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研究分担者 |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | マウス / 卵巣 / 遺伝子導入 / electroporation / プラスミド / EGFP / 濾胞 / lacZ |
研究概要 |
老化は個体の生理的現象であるが、出産を希望する年齢が高齢化するにつれ、出産能力の維持や回復を目的とした医療が切望されるようになってきた。個体の寿命が伸びているにもかかわらず、加齢にともなう卵巣の機能停止(閉経)は平均50歳と変化なく、卵巣は最も早く老化する器官のひとつである。また、出産率から算出すると、閉経より15年以上前の30歳代後半から加齢の影響が出ている。加齢による卵巣の機能低下は、卵子の発育停止による排卵数の減少を引き起こす。卵巣は卵母細胞とそれを囲む濾胞細胞及びそれらを支える間質細胞(thecal cell)とから成る。加齢による卵巣の機能低下の原因の一つとして、卵子の周囲を取り囲む濾胞細胞の酸化ストレス等による機能低下が考えられている。この濾胞細胞へ直接遺伝子導入が出来れば、加齢に伴う濾胞細胞の劣化を多少とも救済出来、卵巣自体の老化を防止出来る可能性がある。 我々は、2003年度に報告した卵巣内部への直接的遺伝子注入、続くelectroporationという方法(Sato et al.,genesis 35:169-174,2003)を用いて、卵巣内の細胞への遺伝子導入を推進して来た。特に、2004年度の目標は、1)卵巣表面に発達するpreantral follicleを標的に遺伝子導入が可能かどうか。2)卵子あるいは濾胞細胞特異的な遺伝子群(例えば、GDF[growth differentiation factor]-9)の導入・過剰発現あるいはRNAi等による内在性遺伝子発現抑制による卵巣機能への影響を調べる、という点であった。1)項目については、従来法に改良(卵巣内に10-20μl程の大量のDNA液を注入;従来のmouth-pieceでの液の注入ではなく、注射筒による注入により達成)を加えることにより、濾胞全体の5-10%に遺伝子(EGFP)を導入することが出来た(論文作製中)。2)項目については、マウスGDF-9 cDNAをRT-PCRにて単離している最中である。周知のように、GDF-9は1-2層の濾胞(primary follicle)以上の比較的幼若な濾胞細胞に対し、成長促進効果を持つとされる。GDF-9発現ベクターを加齢卵巣に遺伝子導入・発現させることにより、濾胞自体の若返りが期待される。 2004年度の段階では、未だ、画期的な成果を出すには至らなかったことで、若干の悔いは残るが、その積み上げた土台を基に、卵巣細胞へ標的を向けた遺伝子導入系の更なる確立を目指して行きたいと考えている。
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