研究課題/領域番号 |
15659004
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 茂貴 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10170672)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | S-ニトロシル / S,N-転移反応 / N-ニトロシル / 脱アミノ化 / 点変異 / 遺伝子修復 / 官能基転移 / オリゴヌクレオチド |
研究概要 |
がん遺伝子の例で示されるようにわずか1個の塩基の変化で、たんぱく質機能が大きく変化する。本研究は、このような塩基変換を引き起こす化学反応を配列および塩基特異的にコントロールできる高機能分子を開発しようとするものである。本研究では、化学的に遺伝子機能を改変する新しい手法の開発を目的とした。 平成15年度に6位に官能基を含む2-aminopurine nucleoside誘導体とシトシンとの反応を分子軌道計算で予測し、シトシン4-アミノ基にニトロシル基を転移するヌクレオシドアナログとしてS-ニトロシル-6-チオグアノシンを設計した。さらに、チオグアノシンを保護基を用いてDNAに組み込んだ後、SNAP(S-nitroso-N-acetylpenicillamine)と反応させることによりS-ニトロシル体に変換した。引き続きこのようにして合成した6-(S-ニトロシル)-置換-2aminopurineを含むDNAと標的位置にシチジン、5-メチルシチジン、アデノシン、グアノシン、チミジンを含む相補的DNAとの反応性を比較したところ、シチジンと5-メチルシチジン特異的に転移反応が速やかに起こることを確認した。 平成16年度は,主に本反応による点変異誘起能について検討した。すでに、化学反応としては、シチジンあるいは5-メチルシチジンにニトロシル基が転移した標的DNAを酸性条件下1日-5日放置することによりシチジンからはdU(8%)とdC-diazoate^<15>(14%)が5-メチルシチジンからdT(42%)とd^mC-diazoate(13%)が生成することを見出している。そこで、平成16年度にはニトロシル転移DNAを鋳型とするポリメラーゼ反応による変異誘起について調べた。その結果、酸性条件下放置後のDNAは予想通りシチジンの変わりにアデノシンが取り込まれ変異が生じることが確認された。しかし、ニトロシル転移DNAそのものからは有意な変異は観測されなかった。引き続きポリメラーゼは基質特異性があることが知られているので、さらに異なるポリメラーゼによる検討の必要があるものと考えられる。 結論として、本萌芽研究の期間内に従来まったく試みられていなかったニトロシル基の転移による配列および塩基特異的な変異誘起法の基礎を確立した。
|