研究課題/領域番号 |
15659015
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関水 和久 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | カイコ幼虫 / 感染モデル / 病原性細菌 / 黄色ブドウ球菌 / 抗菌剤 / 抗真菌剤 / 病原性遺伝子 / 抗生物質の標的 |
研究概要 |
本研究では、黄色ブドウ球菌、ザントモナスなどの病原性細菌、及び、カンジダなどの病原性真菌について、ヒト臨床で治療薬として用いられている抗菌剤、抗真菌剤の治療効果を、カイコ幼虫を用いて定量的に判定する方法の確立を試みた。その結果、ヒト臨床で有効性が確立されている抗生物質は、例外なくカイコ幼虫の系で有効性を示した。さらに、カイコ幼虫で求めたED50値は、ほ乳動物で得られている値とよく一致していた。また、ヒトで経口では無効であることが知られているバンコマイシンやカナマイシンは、カイコ幼虫の系でも、血液内注射では有効であるが、餌に混ぜたり、腸管に注射した場合には無効であることが分かった。さらに、経口投与で有効であるクロラムフェニコールは、腸管注射後直ちに血液内に現れたが、バンコマイシンでは腸管内注射では血液濃度が保たれないことが示された。さらに、摘出腸管を用いた試験管内腸管透過アッセイにおいて、バンコマイシンは透過性を示さないことが分かった。これらの結果は、カイコ幼虫の系が抗生物質の治療効果の有無を評価する上に有効であることを示している。 さらに本研究では、黄色ブドウ球菌の温度感受性変異株の解析を行った。murB遺伝子をはじめとするペプチドグリカン合成系の酵素群について、変異株が生育阻害を示す高温で生細胞数が減少することが明らかになった。この結果は、これらの遺伝子産物を阻害剤等で失活させれば、殺菌されることを意味している。すなわち、これらのタンパク質は、殺菌効果をもたらす抗生物質の標的であることが強く示唆された。
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