研究課題
萌芽研究
我々は腸上皮内リンパ球(IEL)の機能を調べる目的で、抗CD3抗体投与で、小腸(十二指腸、空腸)絨毛上皮にDNA断片化を伴うアポトーシスが誘導されることを見いだした。DNA断片化を起こした小腸上皮は、抗体投与後約4時間で管腔に剥離し、絨毛全長にアポトーシスが誘導されたにもかかわらず、約半分は剥離せずに残る。剥離せずに残った小腸絨毛上皮細胞は、TUNEL陰性となる。本研究は、抗CD3抗体投与で引き起こされる小腸絨毛上皮細胞のDNA断片化が実際に修復されるのかどうか、を確認することが目的である。本年度の実施結果:(1)抗CD3抗体投与により小腸絨毛上皮細胞にDNA断片化が繰り返し引き起こされることを確認した。(2)TUNEL染色がうまくいかず、時間が取られた。(3)ブロモデオキシウリジン(BrdU)を3-4日間連続投与した実験で、抗体投与後(2-4時間後に)剥離したのちに残存した絨毛上皮はBrdUをきれいに取り込んでおり、抗体投与以前から存在した上皮であることが証明できた。(4)しかも、残存した絨毛上皮細胞はすべてTUNEL染色陰性となる。(3)の結果と併せると、抗体投与後、剥離せずに残存した絨毛上皮細胞では一度は断片化したDNAが修復されたことを強く示唆する状況証拠が得られた。
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