研究課題
萌芽研究
本研究では、細胞内分子架橋を用いることによる新たなシグナル伝達分子検索法の開発を試みた。本研究では、細胞外CD8分子や変異型エストロジェンレセプターやFK結合タンパクとのキメラ分子が産生されるような新たなレトロウイルスcDNAライブラリー用ベクターを開発し、ライブラリーから産生されたキメラ分子が、架橋刺激によって正常に活性化されるかを検討し、本法が可能かどうかを明らかにする。本方法では、キメラ分子のライブラリーの作製が必要なため、cDNAライブラリーのサイズや質が非常に重要な要因となる。そこで、まず、CD8分子とのキメラライブラリーに対してcDNAのサイズを最適化したライブラリーの作製を行なった。その結果、新たなB細胞活性化分子として、NFAM1をクローニングした。NFAM1のトランスフェクタントやトランスジェニックマウスを用いることにより、NFAM1はB細胞の活性化や分化に重要な機能を担っている分子であることが明らかになったと同時に、本法が、シグナル伝達分子の解明に非常に有用な方法であることが判明した(Ohtsuka et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 2004)。さらに、最適化したcDNAライブラリーを用いて、シグナル伝達分子の検索を行なったところ、4回膜貫通型の新規分子をクローニングし、B細胞の生存に関与していると思われた(Suenaga et al.投稿中)。以上のように、CD8キメラライブラリーを用いた細胞内架橋によるシグナル伝達分子は、ポストゲノムの時代において、重要な機能的遺伝子検索方法であることが明らかになった。
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