研究課題/領域番号 |
15659181
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前村 浩二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90282649)
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研究分担者 |
今井 靖 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20359631)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 動脈 / 静脈 / 冠動脈バイパス / 転写因子 / 血管内皮 / マイクロアレイ |
研究概要 |
静脈は従来バイパスグラフとしてよく用いられるが、長期にわたる開存が期待できない。これは動脈系と静脈系の血管の性質の相違によるものと考えらる。本研究は、静脈系と動脈系の内皮細胞の分化調節メカニズムの相違を分子レベルで明らかにし、それに基づいて、自己の静脈を動脈に変換する手法を開発することを目的とする。我々は最近、動脈と静脈の分化のkey regulatorと考えられる転写因子Cardiac hairy like factor(CHF)をクローニングした。ゼブラフィッシュではangioblastはdefaultとしては静脈に分化するが、Notchシグナルの存在下では、その下流のCHFのhomologが活性化され、静脈に分化するための遺伝子発現を抑制することにより動脈への分化を促進することが明らかになっている。そこでまずCHFを発現するアデノウイルスを作成し、このアデノウイルスをヒト臍帯静脈内皮細胞に感染させるとEphB4の発現は微増したが、動脈の表現型を示すまでには至らず、ほ乳類では他の因子も静脈の動脈化に重要であると考えられた。次にNotchシグナルの血管内皮での調節機序について検討した。その結果Notch1と4、Delta4、Jagged1が血管内皮で発現していた。Delta4は静脈系の血管内皮ではVEGFにより発現が上昇したが、動脈系の内皮細胞ではVEGFにより発現の変化はなかった。その発現調節メカニズムをさらに検討するためにヒトDelta4遺伝子の5'隣接領域7kbをクローニングしルシフェラーゼ遺伝子に結合したレポーターを作成した。このレポーターはヒト臍帯静脈内皮細胞ではVEGFにより活性が上昇したが、大動脈内皮細胞では上昇しなかった。現在VEGFへの反応性に重要なエレメントを同定中である。この部位に結合するタンパクを同定することにより、静脈の動脈化に重要な物質が明らかにできると期待できる。マウス胎児のpara-aortic splanchnopleural mesoderm(P-Sp)領域の器官培養は、in vitroにおいて中胚葉細胞の血管内皮細胞への分化を観察できる良い培養系である。現在このP-Sp培養系を用いて、血管内皮細胞がどのようにして、動脈系、静脈系に分化して行くのかを、Ephrin-B2、EphB4をマーカーとして解析中である。これらの実験で同定された因子を用いて静脈の動脈化に応用する予定である。
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