研究概要 |
パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで頻度の高い神経変性疾患であり,根本的治療がなく、高齢化社会に伴い大きな問題になっている。我々は、実際に臨床に応用できうる可能性のある,皮膚幹細胞の神経細胞への分化させることにすでに成功している.さらに,神経細胞の割合を増やすために,その幹細胞に分化促進遺伝子など(Mash-1など)を高率に遺伝子導入し,治療効果をさらに改善する.そのために,シュードタイプのレトロウイルスを用いることによりそれが可能となった.さらに,チロシンハイドロキシラーゼなどの治療遺伝子導入も容易である.これらの皮膚幹細胞系の確立を行い,パーキンソン病モデルに移植しその効果を確認することを目的としている.今研究において、皮膚幹細胞培養の問題点は非常に分化が遅い点、線維芽細胞が混入しやすい点、細菌などの感染が非常に起きやすい点が判明した。現在それぞれにおける解決策を検討中である。分化に関してはさらなる分化促進因子例えばガレクチンなどの遺伝子導入の検討。線維芽細胞の混入の問題では、選択的マーカーを使用した幹細胞選別法の開発を検討している。細菌感染に関しては抗生剤の選択などを検討し、それぞれで結果を出している。今後これらをもとに臨床応用できるよう進めていく。それらが解決したところで、猿を使用した皮膚幹細胞の確率及び移植実験で治療効果を確認することが臨床応用を検討する上で重要であると考えている。さらに、移植後のシナプス形成など神経相互間での再生についても十分に検討しなければならない。
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