研究概要 |
本年度はレトロウィルスRNAiライブラリー開発の予備実験およびアダプター蛋白クローニングの目的のための基礎実験を行った。 1、レトロウイルスcDNAライブラリー作成と遺伝子クローニング RNAiライブラリーは抑制遺伝子を個々の細胞に移入し機能欠損細胞から遺伝子を見つけるが、cDNAライブラリーは機能の欠損細胞に完全長のライブラリーを導入後、機能回復した細胞から目的の遺伝子を得る。Mutagenesisによりアダプター蛋白の機能欠損細胞を樹立後、cDNAライブラリーを移入し本課題のアダプター蛋白がクローニングできると考えた。そこで、B16細胞のRNAよりレトロウィルスcDNAライブラリーを作成し、精度を確認する目的である遺伝子クローニングをした。まずレトロウィルスライブラリーを2B4細胞に感染しライブラリー細胞を樹立した。次に、膜分子'CRTAM'のIgG融合蛋白を作成し、CRTAMリガンド発現細胞をスクリーニング、遺伝子クローニングした。その結果、約1.3kbのIg型膜蛋白CRTAMリガンドをクローニングした。以上から非常に優れたライブラリーの作成を確認した。 2、レトロウィルスベクターRNAiによる遺伝子発現制御 レトロウィルスベクターRNAiが遺伝子発現を制御できるか検証する目的で'PILR-L'という膜蛋白の抑制を通常の発現ベクターとレトロウィルスの系で比較した。 まず、RNAi発現ベクターpSHAGにPILR-Lのshort haipin RNAオリゴ(RNAi)を組み込み、293T細胞にトランスフェクションした所、RNAi量に依存したPILR-Lの発現抑制が確認された。一方、同じRNAiをプロモーターとともにレトロウィルスベクターpMxに組み込み,感染・発現させたが、PILR-Lの発現は抑制されなかった。以上よりレトロウィルスRNAiシステムに改善が必要と考えられた。
|