研究概要 |
本年度は矩形ファントムの作製と実験結果の解析を完了させた.矩形ファントムについてであるが前年度におこなったカバーグラスにスペーサを置いたものとはせずにMicroscope Cover Slips(22×22mm,プラスチック製,Fisher Scientific Co.)の四方を,別の4枚のMicroscope Cover Slipsで囲んで固定することで作製した. 対照実験として直径3mm高さ3mmの微小円柱^<99m>Tc線源を,精密微動ステージ(明立精機社製)に乗せコリメータに密着して撮像した.γカメラはデジラド社2020tcであった.(1)x方向y方向同時にセンタアライメント,(2)x方向にシフトアライメント,(3)y方向にシフトアライメント,(4)x方向y方向同時にシフトアライメントの計4種類の画像を,それぞれ2分間ずつ収集した.次に今回作製した矩形ファントムを微小円柱線源と同様の配置で3分間収集した.撮像されたファントム画像をVGC-V202RBコンピュータシステムに転送しx方向の差分およびy方向の差分を施した.差分した画像においてファントムの頂点にあたる部分を点応答関数とした. 微小円柱線源において直径3.0mmの線源が6.5mmと観察される場合があった.また円形であるにも関わらず線源の形が変化してしまい,x方向の長さとy方向の長さが大きく異なる場合があることも観察された.一方,今回の矩形ラァントムを使用することで,2次元的なセンターおよびシフトアライメントを考慮した空間分解能を評価することが可能であった.そしてこの評価結果で,先程示された微小円柱線源の形状の変化を説明することができた.またこのように矩形ファントムの頂点を微分して測定した場合,理想的な点線源になり,このことで従来の球線源とは違い,測定結果が線源の大きさの影響を受けないと考えられた.
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