研究概要 |
3'-[^<125>I]Iodohippuryl-N^ε-maleoyl-L-lysine (HML)は腎刷子縁膜酵素の作用でヨード馬尿酸を遊離し,RI標識ペプチドの腎臓での放射能滞留を投与早期から低減する.本成果を^<186>Reへ展開する目的で[^<186>Re]Cyclopentadienyltricarbonylrhenium carboxylic acid ([^<186>Re]CpTR-COOH)にN^ε-maleoyl-glycyl-lysineを結合した[^<186>Re]CpTR-GK(M)-OHを考案,合成した.本化合物のマレイミド基をBocに変換した誘導体は,ラット腎臓より調整した刷子縁膜小胞の作用で[^<186>Re]CpTR-Glyを遊離し,HMLと同様に刷子縁膜酵素により尿排泄性の化合物を遊離することを認めた.さらに,本化合物を用いて^<186>Re標識Fabを作製し,マウスに投与後の体内放射能動態を[^<186>Re]CpTR-COOHで作製した[^<186>Re]CpTR-Fabおよび[^<125>I]HML標識Fabと比較した.その結果,[^<186>Re]CpTR-Fabは投与30分後に腎臓への放射能集積が最大に達し,その後徐々に減少したのに対して,[^<186>Re]CpTR-GK(M)標識Fabは,[^<125>I]HML標識Fabと同様にインビボにおいても尿排泄性の放射性代謝物[^<186>Re]CpTR-Glyを遊離して、腎臓への集積を投与早期から大きく低減した.以上より,HMLの薬剤設計は,Reを始めとする金属RI標識ペプチドの腎集積の低減に有効であることを示す.
|