研究概要 |
〔実験1〕【対象・方法】colitisを発症した生後12週齢のγ_c^<-/Y>マウスを用い,colitisを発症していない生後6週齢のγ_c^<-/Y>マウスを対照として,組織学的検討,大腸lamina propria lymphocyte (C-LPL)におけるcell populationの解析,ELISA法によるC-LPLにおけるサイトカイン産生の解析,細胞内サイトカインFACSによるサイトカイン産生の解析を行った.【結果】colitisを発症したγ_c^<-/Y>マウスでは対照マウスに比し,crypt depthの伸長,Goblet cellの減少,粘膜下層における炎症性細胞浸潤がより顕著に認められた.C-LPLにおけるcell populationの解析では有意なCD4^+T細胞の増加を認めた.C-LPLにおけるサイトカイン産生ではIL-6の無刺激下での産生を有意に認めた.細胞内サイトカインFACSではCD4^+T細胞のIL-6産生を認めた. 〔実験II〕【対象・方法】colitisを発症したγ_c^<-/Y>マウスでは,病態形成によってIL-6を産生するCD4^+T細胞の関与が示唆されたため,以下の実験にてその検討を行った.colitis未発症の生後8週例のγe^<-/Y>マウスに抗IL-6 receptor(IL-6R)モノクローナル抗体を投与し,colitis発症が抑制されるかをisotype control抗体を投与した群を対照として比較検討した.colitisを発症したγ_c^<-/Y>マウスよりCD4^+T細胞を分離しC, B,17 SCIDマウスの腹腔内に移入,colitis発症が認められるか否かをγ_c^<-/Y>マウスより分離した細胞を移入した群と比較検討した.【結果】抗IL-6R抗体を投与されたγ_c^<-/Y>マウスはisotype control抗体を投与された対照群に比し,炎症は軽度にとどまっており,抗IL-6R抗体を投与することにより,colitis発症が抑制された.Colitisを発症したγ_c^<-/Y>マウスよりCD4^+T細胞を移入したSCIDマウスには,対照群に比し,炎症は高度で,病態形成性CD4^+T細胞を移入することによりSCIDマウスにcolitis発症が認められた. 【結語】 γ_c^<-/Y> mouseにおけるcolitis発症の病態形成にはIL-6を発症するCD4^+T細胞が関与していた.
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