研究課題/領域番号 |
15659312
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 誠二 京都大学, 医学研究科, 講師 (00303834)
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研究分担者 |
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359801)
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
山本 雄造 秋田大学, 医学部, 教授 (70281730)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 肝微小循環 / Y-27632 / 肝虚血再灌流障害 / 生体蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
低分子量GTP蛋白であるRhoはROCKなどの下流エフェクターを活性化し様々なシグナル伝達の分子スイッチとして働く。近年、合成化合物Y-27632がROCK/Rho kinaseの選択的阻害薬であることが報告された。我々はY-27632がアクチン・ミオシン依存性の平滑筋収縮を抑制することやインテグリンを介する細胞接着を抑制することに着目し、部分肝虚血再灌流障害モデルでY-27632による障害抑制効果を検討した。生体蛍光顕微鏡によりin vivoで客観的に肝微小循環の微細な経時的変化を検討した。肝虚血再灌流障害モデルで再灌流後2時間の検討を行い再灌流早期の微小循環障害として類洞灌流の低下と肝微小脈管(肝類洞及び中心静脈)の狭小化を確認した。また再灌流後期相の障害として白血球・血管内皮相互作用の亢進が認められた。一方、治療上Y-27632を用いるための至適投与時期、投与量を決定すべく実験を行い、肝逸脱酵素値や病理組織学的検討から最終的に1mg/kg体重・虚血前投与が最も有効と考えこの投与方法で上記の虚血後肝微小循環障害を包括的に抑制し肝細胞障害を有意に軽減しうることを示した。結果、選択的ROCK阻害薬Y-27632が肝虚血再灌流障害モデルに対し保護効果を持つことが特に微小循環の面から示された。また、LPSによる肝障害モデルでは流血中の白血球表面にMac-1が強発現している。Flow cytometryによる検討ではY-27632による前処置でその強発現自体の抑制効果は無いものの免疫組織染色による検討でY-27632による前処置が肝組織に浸潤した白血球でのMac-1の発現を減弱させることが確認された。Y-27632はMac-1が結合する細胞骨格に作用しMac-1との結合を阻害すると考えられた。これらの結果よりROCK/Rhoシグナル伝達系は新たな治療ターゲットとなりうると考える。
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