研究課題
萌芽研究
難治性疼痛に対する衝撃波を用いた新たな治療法を確立するため、我々は、以下のin vivoならびにin vitroの基礎的実験を行い、その可能性について追求した。<In vitro実験>パルスHo:YAGレーザーを用いた神経用衝撃波照射装置を作成し、この装置から発生する衝撃波の特性を、ホログラフィー法による高速度撮影と、ハイドロフォンによる過常圧測定にて検討した。神経組織を模擬したゼラチン塊に本装置を密着させ、レーザーエネルギーや装置内の設定をいろいろと変えながら衝撃波を発生させた。その結果、本装置からは、10MPaを越える強度の衝撃波が発生することが確認され、しかも、その焦点深度は、2-5mmまで自由に可変可能であった。<in vivo実験>正常神経に対する衝撃波の影響を検討するため、全身麻酔下のラットの頸部から、前述の衝撃波照射装置を用いて迷走神経に衝撃波照射を行った。照射直後、照射翌日、照射3日後に全身麻酔下に処置後のラット頸部を開き、迷走神経の神経伝導速度を計測した。その結果、照射直後は神経伝導速度が遅延したが、照射翌日、照射3日後と神経伝導速度が徐々に回復しほぼ正常化した。前述の3群の迷走神経を摘出し、それらの病理組織学的検討を行ったが、3群とも神経損傷などの異常所見は認められなかった。以上の結果から、衝撃波が神経組織に何らかの機序で、組織の器質的変化をもたらさない一過性の神経伝導遅延を誘導する可能性が示唆された。今後、本現象を更に深く追求して、一過性の神経伝導遅延を利用した神経痛のより安全な新たな治療法の開発が期待される。
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