研究概要 |
逆向性トレーサーの皮膚組織投与による輸送状態の検討(継続) 前年度の研究結果をふまえ、タンパク系の逆向性トレーサーとして、HRP,ボツリヌス毒素、テタヌス毒素フラグメントC、WGA、蛍光色素Fast blue, True blue, RITC, Diamidino yellow, Fluoro-goldについて経皮投与による脊髄後索への輸送状態の検討を行った。皮内注入による脊髄後索への逆向性輸送の検討結果からは、上記トレーサーについて脊髄後角への到達が確認できている。また、有毛部は脱毛処理後真皮層まで露出し、足底および手掌は研磨器を用いて真皮層を露出する皮膚処理方法による経皮投与では、HRP高濃度、Fast blueの2種類について脊髄後索への輸送が確認できているが、その他のトレーサーではこの方法では確認不可能であった。皮膚処理方法を変化させさらに真皮層の深部まで露出して投与をこころみたが、末梢組織神経終末内部へのトレーサー取り込みは認めにくく、あったとしても少量であった。皮内注との相違原因として局所濃度が考えられ、トレーサー基剤と皮膚組織の間でのトレーサー親和性が問題ではないかと考えられた。基剤として他に植物油、植物性ワックス、ゲル基剤、ゾル基剤など試行したが、まだ適当なものがみいだされていない。16年度中に適当と思われるトレーサーを決定してドラッグデザインへ進む予定であったが経皮投与の問題が解決できていないため、経皮注入による投与についてドラッグデザインへ進むことにした。現在コンピューターシミュレーションや、分子量の点からテタヌス毒素フラグメントCを一番目の候補として薬理作用のある物質との結合体作成のコンピューターシミュレーションを行っている。結果の判明は4月以降にずれ込む見通しであるが、5月中には生体投与まで進められる予定である。
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