研究概要 |
平成15年度に作成した3種(δ,κ,μ)のラットオピオイド受容体(ROR)とGFPとの融合遺伝子(ROR-GFP)を用いて以下の実験を行った。 RORとROR-GFPをCOS細胞にDEAE-Dextran法でtransient transfectionし、得られた細胞膜を用いて3H-diprenorphineによるbinding isothermを行った。得られたROR-GFPのKd値は、3つのサブタイプともに、wild typeと有意差を認めず、ROR-GFPはwild typeと同様に、正常に機能していることがわかった。 さらに、ROR-GFPをlipofectin法でHEK293細胞にtransient transfectionし、一過性に発現させ、生きている細胞をconfocal laser scan microscopyを用いて観察した。ROR-GFPはそのほとんどが細胞膜上に一様に分布していたが、サブタイプによる分布の違いが認められた。すなわち、δ subtypeは最も細胞膜上の分布が著しく、μ subtypeは細胞膜上だけでなく細胞質、特に核周囲にも多く分布しており、κ subtypeはその中間的分布を示した。 以上、本実験において、ラットオピオイド受容体の分布を、生きている細胞でリアルタイムに観察することに成功した。なお、本研究の結果は、本年6月に神戸にて開催される第52回日本麻酔科学会学術集会において発表する予定である。
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