研究課題/領域番号 |
15659377
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 弘前大学 (2004) 秋田大学 (2003) |
研究代表者 |
大山 力 弘前大学, 医学部, 教授 (80282135)
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研究分担者 |
土谷 順彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (70282176)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | NKT細胞 / α-ガラクトシルセラミド / 尿路感染症 / αガラクトシルセラミド |
研究概要 |
細菌感染症において、抗生剤の濫用による耐性菌の出現は常に臨床上重要な問題であり、日々の診療においてしばしば悩まされる。最近、呼吸器や消化器感染症の動物モデルにおいてα-galactosylceramide(α-GalCer)によってNatural Killer T(NKT)細胞を賦活化させると高い抗菌効果が得られることが報告されている。しかし、尿路感染症モデルにおける試みは報告されていない。今回我々はマウス尿路感染モデルにおけるα-GalCerの抗菌効果を検討した。また、NKT細胞活性化の指標となるIFN-γ、マクロファージ活性化の指標となるTNF-αをα-GalCer投与後12時間で採血し測定した。 E.coli1677をドリガルスキー改良培地で培養し、2.0×10^7CFU/100μl濃度となるように調整した。α-GalCer(KRN7000キリン)200μg/Aを滅菌精製水10mlで溶解し2μg/100μlとした。C57BL/6マウス(メス6w、n=5)にα-GalCerを2μg、対照として、α-ManCer2μgを1日おきに計4回腹腔内投与した。初回投与翌日、マウス1匹あたり2.0×10^7CFU/100μlのE.coli1677を膀注、外尿道口をクリップで4h閉鎖した後開放して尿路感染症を惹起させた。感染4日目に両側腎を摘出し、腎組織1gあたりの生菌コロニー数を求め、コントロール群と比較した。 IFN-γ及びTNF-αの測定は、C57BL/6マウス(メス6w、n=4)にα-GalCer、対照群にα-ManCerを腹腔内投与し、その結果、対照群(α-ManCer投与群)では腎臓1gあたりの生菌数は平均2.7×10^4CFU、α-GalCer投与群は平均2.0×10^2CFUで、後者で有意な腎臓内菌数の減少を認めた(p=0.0068)。また、IFN-γ及びTNF-αの血中濃度はα-GalCer投与群が対照群に対し有意に高かった。さらに、感染成立後の治療効果およびP.aeruginosaやE.faecalisなど他菌種においても検討したが、同様の抗菌効果が認められた。 マウス尿路感染症モデルにおいてα-GalCerの腹腔内投与がE.coliのみならず、P.aeruginosaやE.faecalisに対して抗菌効果を有することが示された。α-GalCer投与群においてIFN-γ及びTNF-αが高値であったことは、α-GalCerによるNKT細胞の賦活化によりIFN-γ産生が亢進し、さらにマクロファージの貪触能が亢進するという免疫系の関与が示唆される。抗生物質を使用せずとも自然免疫系を活性化することで細菌感染症を治療できる可能性が示唆された。今後、臨床応用が期待される。
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