研究課題/領域番号 |
15659403
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 利徳 東北大学, 病院, 助手 (00336166)
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研究分担者 |
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
山口 慶一郎 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (40210356)
中里 信和 財団法人広南会広南病院, 臨床研究部, 部長(研究職) (80207753)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 高度感音性難聴 / 脳磁図 / 電気岬角刺激試験 / PET |
研究概要 |
人工内耳は、内耳傷害による高度感音性難聴者に対する唯一の聴覚回復方法である。人工内耳の術前検査には、一般的に電気岬角刺激検査が行われている。しかしながら電気岬角刺激検査の反応は被検者の自覚によるものであり、客観的ではない。最近、脳磁図によって脳の興奮の局在が明視化されるようになった。脳磁図の利点は、時間および空間の分解能に優れ、かつ客観的検査である点にある。 今回の研究の目的は、人工内耳手術の術前に電気岬角刺激検査と同時に脳磁図測定を行い(PETに関しては、同意が得られなかったので施行せず)、術後成績の予測や術側の決定に資する客観的なデータが得られるかどうかを調べることにある。今回、7名の高度難聴者に検査を行った。被検者の年齢分布は44〜72歳(平均56.3歳)。性別は男性3名、女性4名。難聴の原因は不明3名、頭部外傷1名、内耳炎1名、麻疹1名、ミトコンドリア脳筋症1名。失聴期間は2ヶ月〜40年(平均8.4年)。 検査方法は、先ず通常の電気岬角刺激検査を行い、音として感じる電流の値を調べる。次いで、電極を固定したままシールドルーム内に移動する。磁場への影響を少なくするために、刺激電極と不関電極とを出来る限り接近させる。刺激器等は全てシールドルームの外部に設置する。脳磁図に付属したトリガー発生器(Biologic社製脳波計刺激装置)と日本光電製刺激装置(SEN7203)を接続し、トリガー刺激を発生して電気岬角刺激器を起動させる。それと同期して脳磁図測定を行った。刺激条件は、予め電気岬角刺激検査で音として感じた電流値を用いて、1秒間隔で50msecのdurationで100Hzの矩形波直流電流を与えた。脳磁図の指標としては、刺激開始後100msecの波形(N100)を用いた。全ての症例で、自覚的には音として感じているにもかかわらず刺激側、対側とも(刺激側は、刺激電流による磁気的雑音が大きく)有意な脳磁図の反応が得られなかった。1000Hz程度までは刺激周波数を上げることは可能であるが、不応期の関係で刺激強度をかなり大きくしなければならず、磁気的雑音の増大と被検者への健康面で限界がありこれ以上の計測が出来なかった。以上の結果、「聞こえる」電流レベルと脳磁図で聴覚野の興奮を明視化出来るほどの電流レベルの間に解離があることが分かった。
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