研究課題/領域番号 |
15659408
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 助教授 (30203748)
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研究分担者 |
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
大黒 幾代 弘前大学, 医学部, 講師 (90305235)
間宮 和久 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (60344610)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 緑内障 / グアニル酸シクラーゼ / エレクトロポレーション / アポトーシス / 神経保護 / 抗緑内障薬 / NO作用 / nipradilol / 遺伝子治療 / electroporation法 / 薬物治療 |
研究概要 |
緑内障は成人の失明原因の主要な原因のひとつである。本症の主体は特異な緑内障性視神経傷害で、これには眼圧上昇にともなう原発開放隅角緑内障(POAG)と眼圧が正常範囲内である正常眼圧緑内障(NTG)の2種類がある。最近の研究では両視神経障害の病因として神経栄養因子の枯渇、虚血、硝子体中のグルタミン酸濃度の上昇および、自己免疫等による網膜神経節細胞のアポトーシスが関与が明らかとなった。このため緑内障の治療においても従来からの眼圧下降治療に加え、網膜神経節細胞のアポトーシスを抑制し、網膜神経節細胞を保護するいわゆる神経保護治療の必要性が。最近開発されたnipradilolはαおよびβ-blocker作用に加え構造中にNOを有するユニークな構造により従来の眼圧下降作用に加え、NO作用による神経保護効果が期待されている抗緑内障薬のひとつである。実際培養細胞を用いたin vitroの実験やラットの硝子体注入実験(Maruyama, Ohguro et al. Jpn J Ophthalmol 43:1-12,2002)で有意な神経保護作用を有することが示されている。しかし、実際ヒトの緑内障患者にnipradilolの点眼治療においてもin vitroと同様な効果が発現されるかについては、1)nipradilolの眼内移行や2)作用機構にかかわると考えられているguanylate cyclaseの網膜内での発現等などの問題もあり、in vivoにおけるnipradilolの有効性については今後の研究を待たねばならない。 一般的にNOによる神経保護作用としてin vitroの実験系で1)ニトロソ化によるカスパーゼ活性化の抑制、2)NMDA受容体の機能抑制および3)グアニル酸シクラーゼの活性化を介したcGMP上昇によるカスパーゼの抑制、Bcl-2分解抑制とチトクロームC放出抑制等の機序が考えられている。今回作業仮説としてnipradilolのもつNOの神経保護作用機序として上記の3)に関して主要因子であるグアニル酸シクラーゼをあらかじめ遺伝子導入により網膜および視神経での発現を増やしておいて、そこにnipradilolを点眼投与することにより、nipradilolの神経保護作用を最大限に引き出し、将来的に緑内障に対する新しい神経保護治療として臨床応用することを目的とする。 今回ヒトグアニル酸シクラーゼ(GC)をクローニングし、それをベクターに挿入したものを準備し、実際にエレクトロポレーションによりラット網膜および視神経に遺伝子導入しうることを確認し得た。今後は最終的な薬物の効果を検討中である。
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